【漫画】賢い犬リリエンタール感想 - にわかじこみの一般人。

賢い犬リリエンタール

いやー面白かった！

『ワールドトリガー』の葦原大介先生が、ワールドトリガーの前に連載し、短期打ち切りになっていた漫画、『賢い犬リリエンタール』。

割と趣味の合う友人の何人かから、ぜひ読もう！読んだ方がいいよ！と言われて、いつか読もう読もうと思っていた漫画。

この度のワールドトリガー連載再開を記念して、ジャンプ＋が２０話まで無料公開してくれたので、これを機会にようやく読みましたよ！完結まで一気に！

結論から言うと、かなり面白かった！まぁ、あの葦原大介先生の漫画っていう時点で、ある程度の面白さは約束されているようなもんだけど、期待を裏切らず良い漫画でした。

当時から、ストーリーの完成度、キャラクターの奥行き、癒される雰囲気、読みやすさは健在で、飛び抜けた感動と興奮はないけれども、コンパクトにうまくまとまっていて、安心して読み続けられる、そんな優しい漫画でした。

・登場人物がとにかくイイ人ばかり

一番の魅力は、何と言ってもこれでしょう。主人公リリエンタールやその家族は言うに及ばず、周りを囲む脇役や、敵の悪の組織のメンバーまで、揃いも揃って100%イイ人ばかりなのは流石は葦原先生。

敵の組織も第一話では普通に嫌な悪役なのに、第二話以降すっかりイイ人になってしまっているのがとっても笑える。個人的にはアキラとスーパー宇宙ネコの絆が大好きです。

イイ人なだけじゃなく、みんな「デキる人」なのも葦原節。キャラクターの大半は頭がよく、仕事ができそうで、人間もできている。特に悪の組織の管理官のシュバインは自分の上司になってほしいレベル。

主人公のリリエンタールもむちゃくちゃ可愛いです。最初は「なんだこのブサイクな犬は？」って印象だったけど、礼儀正しくて何にでも一生懸命なリリエンタールが、読んでると愛おしくてたまらなくなります。

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↑ いっしょうけんめい自転車をこぐリリエンタール。「ごぼう抜き」を「ごぼうむき」と言い間違えているところがとても可愛い！

主人公が好奇心旺盛で一生懸命で、周りの大人たちがみんなイイ人でそれを優しく見守っている。なんだか『よつばと！』を彷彿とさせる漫画でした。実際、リリエンタールのひらがなの台詞と、周りの大人たちとのちょっとズレた漫才的な会話のやりとりは、けっこう雰囲気が『よつばと！』に近いものがあると思う。

かといって、のほほん一辺倒かというとそうではなく、ちゃんとシリアスしてるところも良かった。最後の戦いで、今まで登場した全てのキャラクターや全てのものがちゃんと登場して活躍しているところは「おおっ！」ってなりました。バスとかスーパー宇宙ネコの復活とかあんこくまじんの再登場とかグッと来たもん。こういう話の作りはさすが。

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↑ 表紙だけ見るとお子さま向け漫画だと誤解しがちだが、実際はクレバーなやり取りも非常に多い。

そしてとにかく読みやすい！絵がすっきりしていて見やすくて、台詞回しもテンポがいいから、何のストレスもなくさらさらと読める。この軽さ優しさはとても心地いい。ちょっとした休憩時間とかに、ぜひ息抜きに読みたい漫画。

ただこれは

ジャンプではウケねーよなー！！

素晴らしい漫画だけど間違いなく短期打ち切りになるだろうことは目に見えていたのに、なんで連載させたのか…。とりあえず葦原大介という漫画家の名前を知らしめて、次に続くワールドトリガーに備えたのかな？だとしたら、リリエンタールとワールドトリガーって、若干好みの読者層がズレてるような気もするんだが…。

なんにせよ、沢山の人に打ち切りが惜しまれている理由がよくわかりました。自分もジャンプの短期打ち切りで初めて「終わったのがもったいない」って思ったかも。

つーかこれさ、ジャンプじゃなくて日常系と相性がいいどっかのWEB媒体での連載だったら、今頃けっこうな人気漫画として連載が続いててアニメ化もされてたんじゃないかな？そう思わせるだけのクオリティーの高さはある。まぁ、そうなったら、今頃ワールドトリガーはなかったわけで、そう考えると結果的に打ち切りになってくれて良かったってところなんだけども。

表紙から受けるイメージはかなり子供向けのように思えるけれども、実際に読んでみると決してそんなことはなく、クレバーな登場人物たちのやり取りとよくできたストーリーの構成が玄人の漫画読みを唸らせる面白さです。でも、基本は善人たちのほのぼのストーリー。

とっても癒されるし、優しい漫画です。

オススメ。