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【ネタバレ考察】FINAL FANTASY TACTICS の エンディング について

FINAL FANTASY TACTICS

 

革新的なゲームシステムと、

美麗なグラフィックと、

爽快感溢れるゲームテンポ、

 

そして何より、二転三転する衝撃の展開と、

裏切りと陰謀とドス黒い思惑にあふれたストーリーが魅力の、

プレイステーションの傑作シミュレーションRPG

 

それが、

FINAL FANTASY TACTICS』。

 

中でも印象深いのが、

めちゃくちゃ後味の悪い あの エンディング だろう。

 

スタッフロールの後、花束を持って誕生日を祝いに現れるディリータを、オヴェリアが刺し殺す。驚くディリータは、そのナイフを奪い、オヴェリアを刺し返す。そして、空に向かい、呟く。

ラムザ…おまえは何を手に入れた…?オレは…」

で、THE END。

 

その後、2人はそのまま死んだのか、どちらか片方だけが生き残ったのか、2人とも生きていたのか、それすらわからずじまい。めちゃくちゃ後味が悪い。

 

さらに言えば、ラムザやアルマ、その仲間たちがどうなったのかもわからずじまいだ。

エンディングでオーランがラムザとアルマの姿を目撃してはいるが、あれはオーランが見た幻だ、という説もある。

ラムザたちはエンディングの時点で既に死んでいて、あれはオーランが見た幻だと主張する人の根拠は、ラムザはラスボスのアルテマが死んだときの爆発に巻き込まれているし、そもそも死都ミュロンドから帰還する術をラムザたちは持っていないから戻ってこれないだろ、というものだ。

 

俺は、ラムザやアルマ、その仲間たちは全員生きて地上に帰還した、という説を支持している。さらに言えば、その後ラムザは仲間たちと共にどこか異国の地の田舎に集落でも作り、そこで末永く幸せに暮らしたんだろう。

 

俺がそう思うのは、その方がハッピーエンドだからではなく、むしろ逆で、その方がディリータとオヴェリアのエンディングの残酷さが引き立つからである。

 

ていうか、あのエンディングは明らかに意図的にラムザディリータを対比して作られている。

 

社会的に抹殺され、一家が没落し、異端者という最低の烙印を押され、歴史上に永遠に汚名を残したと思われていたラムザが、実は愛する者と信頼する仲間たちに囲まれ、末永く幸せに暮らしていた。

対して、

平民からのし上がり、王という最高の地位を手に入れ、英雄王として歴史に永遠に勇名を残したと思われていたディリータが、実は誰からも愛されることなく、一人孤独に死んでいった。

 

この対比構造こそが、あのエンディングの真の意味である。

 

だから、ラムザは幸せになってなくちゃいけないのである。

そうでなければ、最後のあの場面は付け加えない。

 

 

じゃあ、ラムザたちはどうやって死都ミュロンドから帰還したのか。

 

実は、この物語には回収されていない重要な伏線が一つだけ残っている。

 

第3章の終わり、聖石がマラークを生き返らせたときのこと。ラムザたちは、聖石は必ずしも邪悪な石ではなく、使う側の問題で白くも黒くもなると結論付けている。

聖石は、邪悪な心を持つ者が使うとルカヴィを呼び出す邪悪なアイテムとなるが、純粋な心を持つ者が使えば、聖なる奇跡を呼び起こす、まさに"聖石"になる。このことは、第3章のタイトル「偽らざる者」の名を冠するほどに、重要な設定、のはずである。

 

にもかかわらず、その後聖石による聖なる奇跡はストーリー上では一切起こっていない*1。聖石がやったことといえば、役立たずを一人生き返らせただけマラークを生き返らせただけ。これほど重要な意味を持つ設定が、これで終わりとはどうしても思えない。

 

もうお分かりかと思うが、ラムザたちは最後に聖石が起こした聖なる奇跡で、地上に帰還することができたのだ。そもそも ファイナルファンタジータクティクス もとい ゾディアックブレイブストーリー は「聖石を持つ12人の勇者の物語」であり、ルカヴィがそうしていたように、聖石は異界と現世を繋ぐ鍵である。「ラムザたちは聖石の力によって死都ミュロンドから現世に帰還した」そう考えるのが、最も自然な結末だ。

 

というわけで、

社会的に抹殺されたラムザは、愛する者に囲まれ幸せに長生きし、

歴史に英雄として名を残したディリータは、誰からも愛されず一人孤独に死んでいった。

これが、FFTのエンディングの真の意味だ。

 

 

にしても、オヴェリアはもう少しディリータを信じてやれよと思う。何かと批判されがちなディリータの行動だけど、俺はディリータは何も間違ったことはしていないと思うんだがなー。どこかの攻略本の巻末キャラクター解説に書かれていた「純情な偽悪者」ってキャッチコピーが、彼には一番よく合ってる。

個人的にはラムザディリータの友情の形がとても好き。4章で教会で再会したときに、ディリータラムザに「必要なときは、遠慮なくおまえを殺すってことさ」と宣言している。それに対して、ラムザは特に驚いた様子を見せない。それは、おそらくラムザも同じ気持ちだったからだろう。お互いに、何を犠牲にしてでも達成したい目的があって、そのためならば相手を殺すことも厭わない。でも、目的に真っ直ぐに向かう意志はお互いに認め合っている。馴れ合いじゃなく、背中を預け合うような友情。1章ではお友達ごっこな関係だったからこそ、尚更。

だから、彼の真意を本当に理解することができたのは、ラムザだけだったのかも知れない。

 

 

いやー、FFTは語り出したらキリがないな。

 

いつかまた、機会があれば、別の観点から再度。

アルティメット ヒッツ ファイナルファンタジータクティクス
 

*1:サブイベント中にはレーゼの姿を戻したり労働八号を動かしたりけっこういいことをしているが